以前の記事で高配当の投資信託の購入の可能性について記載しました。米国高配当ETFであるSCHDの日本版投資信託”楽天SCHD[正式名称:楽天・高配当株式・米国ファンド(四半期決算型)]“に関して、購入するかどうか現状の考えを纏めました。最後の補足にSBI SCHDに関しても簡単に触れています。
楽天SCHDは発売からすごい人気ですね!
- 結論から記載すると「現状見送りで、将来的には購入する可能性あり」です。
- 事前に予想していた通り、面白味のない結論に辿り着きましたが、どうなったら購入するかの条件も含めて考えました。
現状の海外高配当銘柄の状況
- 以前の記事で記載した通り、海外高配当銘柄はトバツトムさんやたぱぞうさんのブログを参考にさせて頂き、米国ETF(VYM、SPYD、HDV)と海外高配当個別株で保有しています。
- 特にVYMはリスク資産の中心銘柄になっており、6%以上の比率になっています(次いでSPYD、HDVは少しです)。
- つまり、ある程度米国高配当ETFに投資し分配金も得ている中で、新たな銘柄である楽天SCHDを加える価値があるかどうかが判断ポイントになります。
今から初めて米国高配当銘柄に投資をはじめるのなら別の結論になる可能性は高いと思います。
VYMとSCHDの比較
日本版投資信託”楽天SCHD”を考察する前に、まずは本家の米国ETFのSCHDとVYMを比較してみたいと思います。
- たかにんさんのリンクフリーのブログ記事「【SCHD】の投信版、楽天・高配当株式・米国ファンド(四半期決算型)が登場」を参考にさせて頂き、私の判断に必要な数値は引用させて頂きました。できるだけ1次情報でと思って調べたのですが、SCHDに関しては情報が調べきれませんでした。
ありがとうございます。とても分かりやすくて勉強になりました!
- 比較した表が以下になります。
- 経費率は同じで、銘柄分散はVYMの方が多いですが、SCHDのように100銘柄に分散していれば十分だと思います。
- 昨年8月の分配金利回りはSCHDが勝っていますが、10年平均では同じです。
- 10年のシャープレシオと増配率はSCHDが勝っています。
- 今から海外高配当ETF投資に着手するのであれば、VYMではなくSCHDを中心に始めると思います(SCHDは私の持っている証券会社SBI、楽天、マネックスからは買えないので実現性はありませんが・・・)。
- 過去の実績は私が海外高配当銘柄の中心に据えてきたVYMに勝る優秀なETFだと思います。
SCHDと楽天SCHDの比較(参考:VYMとSBI VYM)
SCHDは直接買えませんが、SCHDへのアプローチを開いた投資信託楽天SCHDと比較します。併せて、VYMと日本版投資信託”SBI VYM[愛称:SBI・V・米国高配当株式(分配重視型)]” についても比較します。纏めた以下の表で説明していきます。
表の説明
- 分配金利回りは先ほどの表と同じで、昨年8月の分配金利回りです。楽天SCHDと SBI VYMは2024年の今年に設定されたので不明です。年間の分配金利回りが同時比較できるのは来年以降になります。
- 経費率は楽天SCHDとSBI VYMは本家ETFよりも当たり前ですがかかっております。
- 分配金利回り-経費率で税引き前の利回りを求めています。楽天SCHDと SBI VYMは分配金利回りがわかりませんので、仮に本家ETFと同じだったとしてと仮定して計算しています。
日本で組みなおしたETFや投資信託は本家ETFより利回りが低いことが多い印象ですので、2025年に確認が必要な項目です。
- 二重課税調整はSCHDとVYMの本家ETFは自動ではありません。取り戻すには確定申告で外国税額控除の申請が必要です。楽天SCHDと SBI VYMは二重課税調整が自動で適応されそうですが、現状確定情報は見当たりませんでした。二重課税調整については別項でもう少し詳しく記載します。
- 特定口座での実質分配金利回りに関しては、 SCHDとVYMに関しては、米国課税の10%と国内課税の20.315%が引かれますので(分配金利回り-経費率)に0.718を掛けています。 楽天SCHDと SBI VYMに関しては、二重課税調整が自動で行われる前提で、(分配金利回り-経費率)に0.797を掛けています。
- NISA口座での実質分配金利回りに関しては、国内課税が無くなることで二重課税調整は行われませんので、全て米国課税の10%のみがかかるととして、 (分配金利回り-経費率)に0.9を掛けています。
表からの考察
- ①日本版投資信託の分配金利回りが本家ETFと同じ、②日本版投資信託は二重課税調整が自動で行われるという2つの仮定を置いた上ですが、黄色で示したように実質つまり手取りの分配金を最も多く得たければ本家ETFでNISA口座になります(SCHDは買えないので意味が無いですが)。一方、特定口座で比較すると日本版投資信託の方が実質つまり手取りの分配金は多くなると考えられます。本家ETFより日本版投資信託の方が経費率が高いですが、それよりも二重課税調整の効果が上回っているためだと考えられます。
- 私は退職後もSBI証券のNISA口座の成長投資枠でVYMを購入していますが、来年からSBI VYMに設定変更する必要は無いと判断しました。
- 本家のSCHDは買えませんし、私は楽天でNISA口座は持っていませんので、楽天SCHDを楽天の特定口座で購入するかどうかという点に絞られてきました。
- これまで慣れているVYMのNISAの実質分配金利回りが2.47%、2つの仮定を置いた特定口座での楽天SCHDが2.52%で大きな違いがありませんので、実質分配金利回りという点では大きな魅力はありません。
- まずは①2025年に楽天SCHDの普通分配金の分配金利回りの実績を確認し(元本を毀損するタコ足配当の可能性は低いと思いますが)、②二重課税調整が自動で行われるかを確認してから判断したいと思います。
ご参考程度ですが、短期間の楽天SCHDと SBI VYMの比較についてはSBI証券の「今話題の高配当株ファンドを検証! NISAで買える長期好成績ファンドは?」という記事があります。
二重課税調整について
- 二重課税調整について補足です。楽天証券の「投資信託等に係る二重課税調整について」にまとめられています。日本で発売されている投資信託や東証ETFで海外と日本で両方課税されている商品については2020年1月1日から証券会社のほうで自動調整してくれるというものです。
- 一方で、直接海外のETF(VYMなど)を買う場合は二重課税調整は自動で行われません。退職して所得税額の低い私は、確定申告で外国税額控除をしてもあまりメリットが無いです。二重課税調整が行われる日本で発売されている投資信託や東証ETFの方が控除の面では効率が良いので興味はあります。
昨年度はまだ働いていてある程度の所得税額がありましたので、確定申告で外国税額控除を行いました。
- 楽天SCHDとSBI VYMについては、二重課税調整の条件を満たしているので行われた場合、以下の図のような計算で分配金が支払われるようです。
- 楽天SCHDと SBI VYMについては、条件を満たしていますが、公式に二重課税調整が行われると記載されている文書は私には見つけられませんでした。
- 東証のETFの場合は「二重課税調整の対象となる可能性が高い銘柄」である程度確度高く確認できると思うのですが、投資信託の場合はこのようなサイトを見つけることができませんでした。
- 楽天証券では見つけられませんでしたが、マネックス証券とSBI証券では二重課税調整の対象の事前確認はできない旨、記載されています。
- 楽天SCHDが二重課税調整の対象となるかどうかは、試し買いをして実際分配金を得て、以下の確認をするしかないかもしれません。
まとめ
結論:楽天SCHD の購入は現状見送りで、将来的には購入する可能性あり
- 2025年に分配金の実績を確認して、米国ETFの本家SCHDの分配金利回りと大きな差が無ければ楽天証券の特定口座で試し買いをします。
- 高配当ETFへの投資は分配金利回りが第一ですので、実績が少ない場合は購入しません。
- 試し買いの分配金を確認して、二重課税調整の対象となっていれば追加投資の要否を判断します。
- 本家SCHDの魅力は分配金利回りの高さと、増配率の高さです。米国高配当ETFは分配金と増配率のバランスでVYMを中心に投資してきており、分配金重視でSPYDとHDVに投資しています。
- VYMは下がったタイミングも含め、マネックス証券で長期にこつこつ購入してきたため1.9倍まで成長し、簿価利回りも2023年は4%を超えています。このような状態になると少々の株価下落では元本を毀損しませんし、安定した分配金を生み出してくれます。
- もしVYMを購入し始めた時期に、本家SCHDを購入できていたらもっと早くこの状態に辿り着けたと思える点が、高い増配率のSCHDに惹かれるところです。
- 退職もして50代後半ですので、「いまから増配の果実を味わうには残された時間が少ないかな?」とも感じますし、ポートフォリオの数が増えて目指しているシンプル化に逆行するところが懸念点です。
- 投資信託なので、米国の株価下落の際に機動的な購入は難しそうですね。
残される家族への2世代投資を目的に踏み切れるほど、余剰資産があり、家族の投資リテラシーが見込めるのであれば、楽天SCHDへの追加投資を積極的に行うかもしれません。
補足(SBI SCHD)
- この記事を纏め終わった後に、SBIからもSCHDの日本版投資信託の発売の発表がありましたね。
- 『SBI・S・米国高配当株式ファンド(年4回決算型)』(愛称:S・米国高配当株式100)という名称で、経費率は0.1238%程度ということで、楽天SCHDの0.192%より低く設定されています。
経費率の値下げ競争が始まるかもしれませんね!
- 2025年以降の「普通分配金の分配金利回りの実績を確認」という作業は変わりませんが、私の場合、SBIからならNISA口座の成長枠で購入できますので、VYMよりも高い分配金を得られる可能性があります。
- 2025年以降の確認後の試し買いは、SBI SCHDになる可能性の方が高いと思います。